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対談:川崎景太×タブチキヨシ

花と住まいのエキスパートが語る
花のある暮らしのすすめ

花が人や住まいに与える影響とは? フラワーデザインのスペシャリストである川崎景太さん、住まいの達人であるタブチキヨシさんに、それぞれの視点で花が持つパワーについて語っていただきました。花の魅力が、見た目の美しさだけでないことに改めて気がつかされます。

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タブチ:先ほど、フラワーデザインは、自然素材を媒体にしたクリエイティブな表現とおしゃっていましたが、絵を描く、音楽を奏でる、歌うという感覚と同じで、一般の人でも身近にできるクリエイティブなことということですか?

川崎:私はそう思っています。花を生けるときには自然と花の個性を引き立てることを意識するので、観察眼が鋭くなります。さらに創造力の幅が広がり、表現が結びつくことで、花を通して自分自身の感動を人に伝えられるようになるんです。一般の方が暮らしに取り入れるために、花器や他の花材と組み合わせるだけでクリエイティビティが生まれます。

タブチ:おもしろいですね。花を飾ることで空間の雰囲気が変わり、そこには個性が発揮されているからクリエイティブにつながるんですね。

川崎:フラワーデザインは同じものがふたつとしてできないのが醍醐味。同じ枯れ枝でも見せ方は無数です。だからこそ自分のオリジナリティを出せて、人と違う素晴らしさを表現できるんです。

タブチ:家も、建材や設備、パーツ、家具など「個」を取り入れて完成します。花も「個」を表現するものですよね。我が家で妻が花を時々花瓶に挿しているんです。さりげない存在感だけれど、空間を変える力がある。花には、人の心の在り方を変える力があると思います。

川崎:断言できないかもしれませんがあると思います。なぜなら、花は人間が持っていないものをたくさん持っているから。例えば色、香り、質感、また“さりげなさ”もその魅力のひとつですね。

タブチ:人間には出せない色や香りから佇まいなど、花を見ることによって人間は癒されたり、感動したり、幸せな気持ちになるということですよね。

「花はモノではなくて生き物であるという
価値観から啓蒙していきたい」(川崎さん)

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川崎さんの作品を前に、花の美しさに感銘を受けるタブチさん。葉や枝、石、苔など自然にあるものを取り入れ、花を美しく配置させるオリジナルの手法「花配り」を用いて、アレンジされた作品

川崎:花にはエネルギーがある。まず、花はモノではなくて生き物であるというベーシックな価値観から啓蒙していきたいと思っています。すなわち人間と同じなんですよ。それぞれに才能は違うと思うからこそ、お互いを受け入れてリスペクトし、補い合って、共存、共生していくのがピースフルですね。

タブチ:空間は人の心を表します。空間の雰囲気によって気持ちが和らいだり、緊張したり変化する。例えばキッチンカウンターに自分で花を飾っただけで、家中がハッピーな気分になる。なぜでしょうか。

川崎:やっぱり、与えられたものじゃなくて能動的なものだからじゃないかな。子育てと一緒で、生き物と共に生きる喜びを感じるんだと思います。

タブチ:そうですね。つい、花に「元気?」って話しかけてしまったりする。だからこそ、花のある暮らしは、子どもの成長にも大きな影響を与えると私は考えています。部屋に花が自然にあると、情操教育としてもとてもよいと思うんです。

川崎:花がしおれて悲しい姿になると「水をあげなくちゃ」という情操が働く。それはすごく精神衛生上よいことですよね。コーヒーを飲みながら花を眺めていると「ここに蕾がついているな、いずれ咲くのかな。いつ枯れてしまうのかな」なんて、輪廻転生まで考えが及んでしまうこともある。一輪の花とコミュニケーションをとることで、創造力が無限に広がるんです。私は、花というものは独り歩きしないと思っています。人の営みやインテリア、音、四季の移ろい、食材など、異文化が重なり合って「心地いい」と感じた時に花は持っている以上のパワーを発揮する。人間も一緒で、仲間や家族がいるからこそ、その人が成り立っていて、独りでは生きていけないですよね。

タブチ:花は縁結びみたいなもので、家族の輪を取り持ってくれる機能もあるんじゃないかなと思います。

川崎:花と長い付き合いをしているけれど、私も花からすごいパワーをもらっています。1輪、数輪でもすごいパワーをもらえるのが、不思議だよね。そういう花の魅力を広めるために、花を魅力的に見せる花器を開発するほか、手軽に取り入れるための手法をみなさんに伝えるのが私の使命だと思っています。努力をしないで、自然体で楽しい花のある暮らしを実践してもらいたい。

タブチ:自分も花のある住まいの必然性を広めていきたい。部屋に飾った花を介して家族の会話が増えて絆が深まったり、花との対話で何か気づきがあったりなど、「愛のある日常生活に、花が欠かせないものなんだ」ということを家づくりを通して伝えていきたいと思います。

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花が持つ無限の表現力を知ることができる、川崎さんの著書『花は語る 川崎景太の花世界』。花×大自然、花×アーティストなど、意外性のあるコラボレーション作品も。ひと目で川崎さんの作品だとわかる個性がにじみ出ているものばかり

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「花にとって心地よいかたちと機能」を追求して誕生した、オリジナルデザインの花器シリーズ「花のすみか HANASUMI」。その中のひとつ「ザ・ルート」(左写真2点)は花を生けて水を入れると、まるで花が浮いているように見えるもの

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PROFILE

フラワーアーティスト

川崎景太

Keita Kawasaki

東京生まれ。1982年にカリフォルニア芸術工芸大学を卒業。テレビや雑誌、展覧会などでアレンジメントの常識を打ち破る斬新な作品を発表し、現代フラワーデザイン界を牽引し続けている。インスタレーションやディスプレイでは数々の賞を受賞。

http://www.keitakawasaki.net/

クリエイティブプロデューサー

タブチキヨシ

Kiyoshi Tabuchi

ハウスメーカーの経営をはじめ、住宅工務店のアドバイザーなど、愛のある幸せな暮らしや住まいの提案するために日々全国を奔走。ラジオ番組「夫婦でCHU!」のナビゲーターも務める。

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